全集中の呼吸(ぜんしゅうちゅうのこきゅう)

 

全集中とは、漫画・アニメ『鬼滅の刃』に登場する身体超活性の呼吸法と、そこから繰り出す剣術体系である。

 

概要

漫画・アニメ『鬼滅の刃』に登場する、鬼殺隊士達が必須として習得する特殊な呼吸法。
超越生物である人喰い鬼と渡り合えるほどの身体能力を得た上で、そこから“型”に沿った必殺の剣術を繰り出すことによって、岩塊よりも硬い頸を斬り落とす。

 

あくまでも人間が身に付ける“技術”であるため、骨身を削りながら修練を重ねる以外に習得方法はない。
……それはつまり、心身に修練を乗り越える頑健さを備えているのであれば、特別な才能が無くとも習得そのものは可能である事を意味する。

 

外的要因によって突如目覚める“異能”たる、血鬼術とは対極に位置する。

 

詳細

著しく増強させた心肺により、一度に大量の酸素を血中に取り込むことで、瞬間的に身体能力を大幅に上昇させる特殊な呼吸法。

 

当然ながら相応の負荷を使用者に強いるため、基本的には短時間のブーストとして使用する。
この身体ブーストをかけた状態で、各々の(育手から学んだ)流派に従った型から必殺の剣戟を繰り出し、鬼と対峙する。

 

即ち、鬼殺の剣士の基本且つ奥義でもある。

 

全集中“常中”

地道かつ過酷な鍛練の積み重ねにより、睡眠中を含む二十四時間つねに全集中の呼吸を維持し続ける身体活性化の高等技術の一つである。
非常に身体に特に肺に負担が掛かる全集中の呼吸を常時行うため子供と同じくらいある巨大で硬い瓢箪を、息を吹き込むだけで破裂させられるようになるほどに呼吸系を強化をしなくては全集中の呼吸を維持させる事が出来ない為、これが体得のスタートラインである。
一応、実際に肺活量を鍛える訓練方法として似たような物があるが此方は500mlペットボトルを使う(破裂するほどやれば呼吸器系に過負荷が掛かり痛めるので厳禁)。
体得に成功すれば新陳代謝が活性化し、増大した肺活に応じ肉体が対応するので身体能力が向上する。しかし突然強くなったりするような技術ではなく効果が上がる迄には相応の年月と鍛錬を必要とする。
また、応用発展として血管の一本一本に至るまで意識をめぐらせて、自力で止血などを行える完全身体操作など、高位の剣士ほどより深く精通している(しなければ強力な鬼を前にして生き残れない)。

 

作中において炭治郎は常に全集中の呼吸を意識しながら、日中に刀の素振り、屋敷の庭をランニング、岩を使った筋力トレーニングなどかつて師である鱗滝に課された修行メニューを、夜は座禅を組み酷使した肺を休めて静かに行うこととした(更に、三人娘たちに夜の就寝中に全集中の呼吸が止まっていた場合は布団叩きで叩くよう依頼)。
この甲斐あって標準サイズの瓢箪を破裂させることに成功した炭治郎を見て善逸伊之助もやる気を取り戻すも早々に挫折しかけ、しのぶは二人を鼓舞するために、これを「基本的なこと」と説明していたが、後に炭治郎が煉獄から聞いた話では、「“”になるための入り口」とされており、上述した通り基礎であると同時に奥義にも近いものと思われる。

 

各流派

呼吸の基本となる剣術の流派として炎・水・風・岩・雷の五系統が存在しており、他の流派はここから派生している。
特に炎と水は歴史が古く、煉獄曰くどの時代にも“柱”となった剣士がいたという。
また、彼の家にある書物によれば、全ての始まりとなったのは炭治郎の家で代々伝えられている“ヒノカミ神楽”の基になったとされる“日の呼吸”とされており、他の呼吸法は全てその派生に当たるという。
元々は上記の五系統の名を関するただの剣術の流派であったが、始まりの剣士が彼らの適正ごとに呼吸法を変えて指導した結果、剣技と呼吸法がセットになった全集中の呼吸という形になり現在まで受け継がれている。
後に炭治郎が師である鱗滝から聞いた話によれば、使っている呼吸を変えることや新しい呼吸を派生させることはよくあることで、珍しいことではないらしい。

 

基本流派・使い手
水の呼吸

どんな形にもなれる水のように変幻自在な歩法で如何なる敵にも対応できる。
唯一鬼に苦痛を与えず安らかに死なせる技が存在するのも特徴。
流派の中では炎の呼吸と並び歴史が古くいつの時代も“”がおり、技が基本に沿ったものであるため派生した流派も多い。
竈門炭治郎
冨岡義勇
鱗滝左近次
錆兎
真菰
・村田

 

派生流派・使い手
蛇の呼吸

・伊黒小芭内

 

花の呼吸

・胡蝶カナエ
・栗花落カナヲ

 

蟲の呼吸

胡蝶しのぶ

 

雷の呼吸

呼吸の力を脚に集中させ、強烈な踏み込みから文字通り雷光の如き速さで居合いの斬撃を繰り出す。
全ての型が壱ノ型を基盤として成り立っているのも特徴であり、そのことから技は本来なら全て抜刀術となるようである。
我妻善逸
・桑島慈悟郎
・善逸の兄弟子

 

音の呼吸

・宇髄天元

 

炎の呼吸

脚を止め力強い踏み込みから、間合いを一気に詰めての強力な斬撃が多いのが特徴で、変幻自在の脚運びを主とする水の呼吸とは対称的である。
五大流派の中では最も歴史が古く、いつの時代も“柱”が存在したという。
煉獄杏寿郎
・煉獄槇寿郎

 

岩の呼吸

岩のように頑強な防御に長け、筋力に物を言わせた荒々しい戦闘法も特徴。
足さばきや体さばきによって技の威力を底上げする他の呼吸法と違い、単調な力押しであるがゆえに弱点の無い呼吸である。
それ故に派生された呼吸法が少ない。
・悲鳴嶼行冥

 

風の呼吸

暴風のように荒々しい動きから鎌鼬のように斬り刻む。
また、本編では雷や炎等のエフェクトが技の演出として描かれるが、この呼吸のみ純粋な剣技によって起こした風が敵を攻撃する。
・不死川実弥
・粂野匡近
・霞の呼吸
・時透無一郎

 

獣の呼吸(※2)

嘴平伊之助

 

※2:元々存在した流派ではなく彼らが独自に編み出した流派であり、恋の呼吸は炎の呼吸が基になっていて、獣の呼吸は風の呼吸に近いものらしい。

 

日の呼吸

現在の全ての全集中の呼吸の源流となった、最初に生まれた始まりの呼吸。
・??????

 

ヒノカミ神楽の呼吸

竈門家に代々伝わる神楽舞であり、正確には全集中の呼吸に分類されるかどうかは不明。
しかし、性質としては殆ど全集中の呼吸と類似しており、戦闘での応用も利く為、作中では全集中の呼吸と同列に扱われている。
作中において煉獄の父である愼寿郎は、全ての流派の源流とされる始まりの呼吸“日の呼吸”を原型としているのではないかと語っている。

 

月の呼吸

唯一、“異能”との合一によって繰り出される、常勝不敗の戦技。
斬撃の周りに無数の三日月状の刃を纏っている。
三日月の刃はそれぞれ長さや大きさが異なり動きも不規則なため、回避が極めて困難。
名称が日の呼吸と対になっていることと使い手が日の呼吸に関わりのある人物であることから、何かしらの関連性があると思われていたが、劇中にて遂に使用者本人から日の呼吸の派生であると断言された。
???

 

かつて戦国の世において、鬼舞辻無惨をあと一歩まで追いつめ、後の全ての全集中の呼吸の源流となった始まりの呼吸の剣士たちには、鬼の紋様に似た痣があったという。

 

透き通る世界

作中において、炭治郎が因縁の鬼との戦いの中で、父・炭十郎の教えを思い出したことで覚醒した、呼吸の新たなる境地。

 

余談

異能の力によって超常的な現象を引き起こす血鬼術とは違って、あくまでも身体能力を強化したものとそれによる剣技である為、水や雷と言った自然物を操るわけではないのだが、画面的な演出として、あたかも水や雷や火を纏っているかの様な描写がされている。
アニメ版ではUfotableの変態技術による浮世絵風のエフェクトが用いられ、特に第19話のヒノカミ神楽は、作者も驚愕するほど美麗なものとなった。

 

ちなみにコミックス17巻おまけページで、「剣士たちは水などを出しているのではなく、見ている人がそう感じる、そう見えるというだけです」と解説されている。
エフェクトが出るのは「型を使いこなしている証」であるため、才能に乏しい隊士は出せることは出せるのだが薄すぎて見えないという悲しい結果になる。

 

 

 


TVアニメ「鬼滅の刃」視聴はFODで!!
トップへ戻る